揚げ物を出す店にとって、油は「買うもの」であり「出すもの」でもあります。新しい油は業務用の食品卸や酒屋さん、通販などから仕入れ、使い終わった油は回収業者に引き取ってもらう。多くの店では、この二つを別々の会社とやり取りしています。
別々でも特に困っていない、という店も多いと思います。それでも話を伺っていると、「油の注文を忘れていて、営業中に慌てて買いに走った」「新油が届いた日に廃油の缶もまだ残っていて、バックヤードが缶だらけになった」「担当が替わったら、どこに何を頼んでいたのか分からなくなった」といったことは珍しくありません。どれも、油の入口と出口が別々の窓口になっていることから起きています。
この記事では、食用油(新油)の仕入れと廃油の回収を一つの会社にまとめると何が変わるのか、まとめる前に何を確かめておけばよいのかを、店の実務に沿って整理します。値段の比べ方ではなく、手間と置き場の話が中心です。
油の仕入れ先と回収業者が別々の店で起きていること
窓口を分けて回している店でよく聞くのは、次のような困りごとです。
- 連絡先が二つあり、新しく入ったスタッフがどちらに何を頼めばよいか分からない
- 新油の納品日と廃油の回収日がばらばらで、缶が増える日と減る日が読めない
- 納品書や請求書が別々の会社から届き、月末に油まわりの支出を合わせるのに時間がかかる
- 今月は油を何缶使って、何缶出したのかを一か所で見られない
一つひとつは小さな手間ですが、毎週のように繰り返されます。店長が発注と厨房の両方を受け持っている店では、油の注文は「気づいたときにやる仕事」になりがちです。気づくのが遅れると、営業中に油が足りなくなったり、急ぎで近くの店から割高に買い足したりすることにつながります。
もう一つ見落とされやすいのが、入ってくる油と出ていく油の関係です。揚げ物の量が大きく変わらなければ、新油の使用量と廃油の量はおおむね連動します。揚げた料理に吸われる分があるので同じ量にはなりませんが、片方だけが急に増えたり減ったりすることは普通ありません。ところが窓口が別々だと、この二つを並べて見る人がいないため、仕入れは増えているのに廃油は増えていない、といった変化に気づきにくくなります。油の交換の間隔が延びている、差し油が増えている、といった厨房の変化は、こうした数字のずれに最初に表れることが多いものです。
新油の注文と廃油の回収を一つにまとめると楽になること
仕入れと回収を同じ会社に頼むと、店の側で変わるのは主に次の四つです。
連絡先が一つになり、引き継ぎが簡単になる
「油のことはここに連絡する」と一つに決まっていれば、引き継ぎのメモは一行で済みます。アルバイトの入れ替わりが多い店や、店長が複数店舗を見ている会社では、この違いが意外と大きく効きます。廃油の缶がいっぱいになったとき、新油の在庫が減ってきたとき、どちらも同じ相手に伝えればよいので、迷う時間がなくなります。
油の「入り」と「出」を同じ相手と話せる
新油をどのくらい使っていて、廃油がどのくらい出ているか。この二つを同じ担当と話せると、相談の中身が具体的になります。たとえば「最近、新油の注文が増えたのに回収の缶数はあまり変わらない」という話から、揚げ物メニューの入れ替えや、油の交換の仕方の変化に気づくことがあります。仕入れと回収が別々だと、それぞれの相手は自分の側の数字しか知らないので、こうした話にはなりにくいのです。
缶の動きが読みやすくなる
新油の一斗缶が届き、使い終わった油が缶に入って出ていく。この流れを同じ会社が見ていると、どのくらいの間隔で何缶が動くのかを一緒に考えられます。新油の納品と廃油の回収のタイミングをどこまで近づけられるかは、地域や回収の予定によって変わるので、まとめて頼むときに相談して決めるのがよいでしょう。うまく組めれば、バックヤードに新油と廃油の缶が両方とも積み上がる期間を短くできます。
油の出入りを月ごとに振り返れる
新油を頼む店でも、廃油の回収がいつ何缶あったかは、OIL BEESのポータルで見られます。店側で控えている新油の注文の記録と並べれば、月ごとの油の出入りをまとめて振り返れます。揚げ物の売れ行きと照らし合わせると、油の交換のタイミングを見直すきっかけにもなります。
置き場と在庫から、まとめ方を組み立てる
油の窓口をまとめるときに、店の側で一番考えておきたいのが置き場です。新油も廃油も一斗缶で扱うことが多く、どちらも同じバックヤードの一角を取り合います。
新油は「切らさない量」、廃油は「溢れさせない量」
新油の在庫は、次の納品までに切らさない量があれば足ります。多めに置いておくと安心ですが、そのぶん場所を取りますし、開封前でも高温や直射日光の当たる場所に長く置くのは油によくありません。廃油のほうは、次の回収までに置き場から溢れない量に収まっていることが大事です。この二つの量を、店の置き場の広さから逆算しておくと、注文と回収の間隔が決めやすくなります。
狭い店は、少なめの在庫をこまめに回す
厨房の奥に一斗缶を数缶置くのがやっとという店もあります。そうした店では、在庫を多めに抱えるより、少なめの在庫をこまめに回すほうが楽です。どのくらいの間隔で回せるかは地域や量によって変わるので、置ける缶数を先に伝えて、相談しながら決めてください。
空き缶を廃油入れにするか、専用の容器を置くか
新油の一斗缶が空いたら、そこに廃油を入れて出す。昔からある、場所を取らないやり方です。一方で、口の狭い一斗缶に油を移すのは手間がかかり、こぼれやすいという声もあります。OIL BEESでは回収用の容器の設置も無料なので、空き缶を使うか専用の容器を置くかは、厨房の動き方に合わせて選べます。どちらにするか迷う場合は、揚げ物の量と置き場の写真があると話が早く進みます。
新油の缶と廃油の缶を取り違えない置き方
空き缶を廃油入れに使う場合に気をつけたいのが、新油の缶と廃油の缶の取り違えです。どちらも同じ形の一斗缶なので、忙しい時間帯に手前の缶を開けたら廃油だった、ということが起こりえます。新油は棚の上段、廃油は床に近い下段というように置く高さを分ける、廃油を入れた缶にはふたに「廃油」と大きく書く、使いかけの新油の缶は廃油の缶の隣に置かない、といった決めごとを一つ作っておくと防げます。窓口を一つにするのに合わせて、置き場の決めごとも見直しておくと、スタッフが替わっても同じやり方を続けられます。
なお、油はどちらの缶も火の気から離し、出入口や通路をふさがない場所に置いてください。店で保管できる油の量や置き方の決まりについては、地域の消防署や自治体の窓口で確認しておくと安心です。
まとめる効果が出やすい店、そうでもない店
仕入れと回収をまとめると楽になるのはたしかですが、効果の大きさは店によって違います。
効果が出やすいのは、揚げ物の量が多く、新油も廃油も毎月まとまった缶数が動く店です。とんかつ・唐揚げ・天ぷらなど揚げ物が主力の店、惣菜や弁当の製造、社員食堂などがこれにあたります。缶の出入りが多いほど、連絡や置き場の手間も比例して増えるので、窓口を一つにする意味が大きくなります。発注や在庫の管理を店長一人が抱えている店や、スタッフの入れ替わりが多い店も、引き継ぎが楽になるぶん効果を感じやすいはずです。
一方で、揚げ物が月に数回しか出ない店や、油は食材と一緒に同じ卸から届くのがいちばん楽だという店では、無理にまとめる必要はありません。その場合は、回収だけを頼み、新油は今まで通りにしておくほうが手間は少なく済みます。大事なのは、油の入口と出口のどちらで手間がかかっているかを、店の側で一度はっきりさせることです。
まとめる前に確かめておきたい五つのこと
窓口を一つにする前に、次のことを手元で確かめておくと、相談がスムーズに進みます。
- 今使っている油の種類と容量(一斗缶か、ほかの容器か)
- 1か月に新油を何缶くらい使い、廃油を何缶くらい出しているか
- 今の仕入れ先との約束(まとめ買いの条件、締め日、支払いの方法など)
- 廃油を入れている容器と、置いている場所
- 納品や回収に来てもらえる時間帯と、搬入口の場所
特に気をつけたいのは1と3です。油の種類を変えると、揚げ上がりの色や香り、カラッと感が変わることがあります。看板メニューの味を守るなら、今と同じ種類の油が手に入るかをまず確かめ、変える場合は少量で試してから切り替えると安心です。OIL BEESでは、今お使いの油を伺ったうえで、ご用意できるものをお伝えしています。
今の仕入れ先とは、油以外の食材もまとめて取引していることがよくあります。油だけを外すと配送の条件が変わる場合もあるので、契約や取引の約束はあらかじめ確認しておいてください。
全部を一度に切り替えなくてもよい
仕入れと回収をまとめるといっても、一度に全部を切り替える必要はありません。店の事情に合わせて、段階的に進める方法もあります。
回収だけ先に始め、新油は様子を見てから
いちばん負担が少ないのは、まず廃油の回収だけを頼み、回収の流れに慣れてから新油の注文も相談する進め方です。回収の担当とのやり取りや、ポータルでの確認に慣れてから決められるので、判断がしやすくなります。
揚げ油だけまとめ、ほかの油は今まで通り
厨房で使う油は揚げ油だけではありません。ごま油や香りづけの油、炒め物用の油など、少量ずつ使うものは今の仕入れ先のまま、量の多い揚げ油だけをまとめる、という分け方もあります。廃油として出るのはほとんどが揚げ油なので、入口と出口をそろえる効果は十分に得られます。
複数店舗なら、一店舗で試してから広げる
店舗が複数ある会社では、まず一店舗で仕入れと回収をまとめてみて、置き場や注文の流れに無理がないかを確かめてから、ほかの店舗に広げると失敗が少なくなります。店舗ごとに置き場の広さや揚げ物の量が違うので、同じ組み方がそのまま合うとは限らないからです。
よくある質問
Q. 新油を買わなくても、廃油の回収だけ頼めますか?
A. はい、回収だけのご依頼も受けています。新油の注文はあとから追加することもできますので、まずは回収だけ始めて、様子を見てからご検討ください。
Q. 新油の納品と廃油の回収を同じ日にしてもらえますか?
A. 地域や回収の予定によって変わるため、一律にはお約束していません。店の所在地と、新油・廃油それぞれのおおよその量を伺ったうえで、どう組めるかをご相談します。
Q. 今使っている油と同じ種類のものを頼めますか?
A. 今お使いの油の種類と容量を教えてください。ご用意できるものをお伝えします。同じものが難しい場合も、近い使い方ができる油を一緒に考えます。
Q. 廃油の量が少ない店でもまとめて頼めますか?
A. 廃油は最小2缶から回収しています。量が少ない店では、回収の間隔を空けて缶がたまったところで伺う形になります。新油の在庫の置き方とあわせてご相談ください。
まとめ
- 新油の仕入れ先と廃油の回収業者が別々だと、連絡先・予定・缶の置き場が二重になりやすい
- 窓口を一つにすると、引き継ぎが簡単になり、油の「入り」と「出」を同じ相手と話せる
- 新油の在庫は「切らさない量」、廃油は「溢れさせない量」として、置き場から逆算する
- 油の種類と今の取引の約束は、切り替える前に必ず確かめる
- 回収だけ先に始める、揚げ油だけまとめるなど、段階的に進めてもよい
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