揚げ物を出すのは飲食店だけではありません。油揚げや厚揚げ、がんもどきを作る豆腐店、コロッケやメンチカツ、とんかつを店頭で揚げる精肉店など、町の食品小売店の多くが毎日のように油を使っています。揚げる量は、小さな飲食店よりずっと多いことも珍しくありません。
それなのに、こうした店では廃油の扱いが後回しになりがちです。作業場は売り場の奥の限られた広さしかなく、仕込みから販売まで少ない人数で回しています。使い終わった油は空き缶に入れて裏口に置いておき、たまったら何とかする、という店も多いのではないでしょうか。
この記事では、豆腐店と精肉店を中心に、揚げ物をする食品小売店の廃油について、油の傷み方の特徴、狭い作業場での置き場と容器、回収を頼むときに伝えておきたいことを順に紹介します。
揚げ物をする食品小売店に共通すること
豆腐店と精肉店では揚げるものはまったく違いますが、廃油の扱いでは共通する事情があります。
- 売り場と作業場が近く、廃油の臭いや汚れが売り場に伝わりやすい
- 揚げたてを店頭に並べるため、揚げる時間帯が開店前や夕方などに集中する
- 少ない人数で仕込み、揚げ物、販売、片づけまでを受け持っている
- 作業場が狭く、廃油の缶を置く場所が限られている
- 揚げ物が商品そのものなので、油の状態がそのまま売れ行きに響く
飲食店では揚げ物はメニューの一部ですが、豆腐店の油揚げや精肉店のコロッケは、それ自体が店の看板商品です。油が傷んでいれば色や香りに表れ、常連のお客さんはすぐに気づきます。油をこまめに替えるほど商品はよくなりますが、そのぶん廃油は増えていきます。商品の質を守るためにも、廃油を無理なく出せる仕組みを作っておくことが大切です。
豆腐店:油揚げ・厚揚げ・がんもどきの油
水分の多い生地を揚げる油は傷みやすい
油揚げは、薄く切った豆腐の水をよく切ってから、低めの温度でふくらませ、高めの温度で仕上げるのが一般的な作り方です。厚揚げは厚く切った豆腐の表面を揚げ、がんもどきは崩した豆腐に野菜などを混ぜて揚げます。どれも、もとは水分の多い豆腐です。
水分の多い生地を毎日揚げていると、油は傷みやすくなります。揚げている間に生地から出る水分が油と触れ合うことで、油の分解が進むためです。泡が消えにくくなる、色が濃くなる、においが変わる、といったサインが出たら交換の時期です。温度の違う二つの鍋やフライヤーを使い分けている店では、それぞれの油の傷み方が違うので、交換のタイミングも別々に見ておく必要があります。
細かいかすと、底にたまるもの
豆腐生地を揚げると、細かいかすが出て油の底に沈みます。かすを油の中に残したまま揚げ続けると、焦げたかすが油を傷め、油揚げの色にも影響します。揚げている間にこまめにすくうのが基本です。
油を交換するときは、底にたまったかすや、かすと一緒に沈んだ水分を、なるべく廃油の缶に入れないようにします。鍋やフライヤーの底の部分は最後に残し、かすはこし網などで分けてから処分するのが理想です。廃油に水やかすが多く混ざると、再資源化しにくくなるからです。
朝の早い作業と、回収の時間
豆腐店は、朝の早い時間に豆腐を作り、続けて揚げ物を仕上げる店が多い業種です。午後には作業を終え、夕方には店を閉める店もあります。回収に来てもらう時間が店の作業時間と合わないと、だれかが待っていなければならないのでは、と心配になるかもしれません。OIL BEESの回収は立ち会いが不要なので、置き場を決めておけば、作業や販売の手を止めずに回収できます。
精肉店:コロッケ・メンチカツ・とんかつの油
パン粉のかすと、溶け出す肉の脂
精肉店の揚げ物の多くは、パン粉の衣をつけたものです。パン粉はかすが油に落ちやすく、焦げたかすが油を傷めます。メンチカツやとんかつは、揚げている間に肉の脂が油に溶け出します。揚げる品目が多い店ほど、油の汚れ方は複雑になります。
コロッケはじゃがいもが中心なので、ひき肉が入っていても、溶け出す脂はメンチカツほど多くありません。同じ油でコロッケ、メンチカツ、とんかつを順に揚げている店では、品目の順番を「脂の少ないものから多いものへ」とそろえておくと、油の汚れの進み方がゆるやかになります。
衣をつけたあと、余分なパン粉を軽くはたいてから油に入れるのも効果があります。落ちるパン粉が減れば、焦げたかすも減り、油が長持ちします。揚げている間はかすをこまめにすくい、営業の終わりには油をこして、底にたまったかすを取り除いておくと、翌日の揚げ物の色がそろいます。こうした手入れで油の交換が少し延びれば、そのぶん廃油の量も抑えられます。
ラードや牛脂を使う店は、種類を伝えておく
精肉店の揚げ物には、ラード(豚の脂)や牛脂を使ったり、植物油に混ぜたりして、香りやこくを出している店もあります。こうした動物性の脂は、冷えると白く固まるのが特徴です。缶に移したあとに固まると、取り出しにくくなります。
植物油は買取の対象ですが、動物性の脂が多い油は、扱いが変わることがあります。回収を頼むときは、植物油だけで揚げているのか、ラードなどを混ぜているのか、混ぜているならおおよその割合はどのくらいかを伝えてください。あらかじめ分かっていれば、容器の選び方や出し方も含めて相談できます。
夕方の山に合わせて揚げる
精肉店の揚げ物は、夕方の買い物の時間に合わせて揚げたてを並べる店が多いものです。揚げる時間が短い時間に集中するぶん、その日の終わりに油を交換し、片づけまで済ませるのは大変です。交換は翌朝の開店前に回す、交換の曜日を決めておく、といった段取りにしておくと、夕方の忙しさと重なりません。
豆腐店・精肉店のほかにも:練り物店や和菓子店の揚げ物
揚げ物をする食品小売店は、豆腐店と精肉店だけではありません。同じような事情を抱えている店として、練り物店や和菓子店があります。
練り物店:さつま揚げなどの揚げかまぼこ
さつま揚げのような揚げかまぼこは、魚のすり身を成形して揚げます。すり身に混ぜる野菜やでんぷん、調味料のかすが油に落ち、魚のにおいも油に移ります。揚げる量が多い店では、油の交換も頻繁になります。においが強くなりやすいぶん、廃油の缶はふたをきちんと閉め、売り場から離れた場所に置くことが大切です。
和菓子店:揚げまんじゅうやかりんとう
揚げまんじゅうやかりんとうを作る和菓子店も、揚げ油を使います。生地やあんの糖分が油に溶けると、油は色が濃くなり、焦げやすくなります。毎日揚げる品目ではなくても、まとめて仕込む日にはまとまった量の廃油が出ます。揚げる日が決まっている店は、その翌日以降に回収を合わせると、置き場に缶が長く残りません。
どの業種でも、考え方は豆腐店や精肉店と同じです。何を揚げていて、どんな油を使っていて、どのくらい出るのかを把握しておけば、置き場と回収の組み方は決まります。
狭い作業場での置き場と容器
食品小売店の作業場は、売り場の奥や裏の限られた広さしかないことがほとんどです。廃油の置き場は、次のことに気をつけて決めます。
売り場から見えず、臭いが届かない場所
廃油の缶を店先や売り場の近くに置くと、臭いが売り場に流れ、見た目もよくありません。食品を扱う店なので、虫が寄らないようにすることも大切です。作業場の裏口の外や、売り場から離れた一角に置き場を決め、ふたを必ず閉めておきます。
熱いうちに移さない、固まる脂は容器を選ぶ
交換した油は、十分に冷めてから缶に移します。熱い油を急いで移すと、やけどやこぼれの原因になります。ラードなど固まりやすい脂を使っている店では、冷めて固まったあとの扱いまで考えて容器を選ぶ必要があります。口の狭い一斗缶は固まると出しにくいので、口の広い容器のほうが扱いやすい場合もあります。OIL BEESでは回収用の容器の設置も無料なので、使っている油に合わせて相談できます。
置ける缶の数を決めておく
狭い作業場では、置ける缶の数が限られます。「ここに置けるのは何缶まで」と決めておき、それを超えそうになる前に回収を頼むようにします。置き場が足りないからといって、作業場の通路や売り場の裏に缶を置き始めると、つまずきや転倒の原因になります。
缶の外側と床の油を拭いておく
油を缶に移すとき、缶の外側や床に少し垂れることがあります。これをそのままにすると、床が滑りやすくなり、においで虫も寄ってきます。移し終えたら、缶の外側と置き場の床をさっと拭く、という手順を一つ加えておくだけで、置き場はずいぶん清潔に保てます。食品を扱う店にとって、作業場の衛生は商品の評判にも関わるところです。
回収を頼むときに伝えておきたいこと
豆腐店や精肉店が廃油の回収を頼むときは、次のことを伝えると話が早く進みます。
- 店の所在地。店舗と仕込み場が別の場所なら、両方
- 揚げている品目と、使っている油の種類(植物油だけか、ラードなどを混ぜているか)
- 1か月に出る廃油のおおよその量(一斗缶で何缶くらいか)
- 置き場の場所と、回収の担当者が入れる時間帯
- 新しい油(新油)もあわせて頼みたいかどうか
量が多くない店でも、OIL BEESは最小2缶から回収しています。たまるまでに時間がかかる店は、回収の間隔を空けて、缶がそろったところで伺う形にできます。食用油(新油)の販売もしているので、仕入れと回収をまとめたい場合も一緒に相談できます。
よくある質問
Q. 豆腐を揚げた油は水分が多いと聞きました。回収してもらえますか?
A. 揚げ物に使った油は回収の対象です。ただ、缶の底に水がたまっていたり、かすが多く混ざっていたりすると、買取の対象にならないことがあります。状態を見てご相談ください。交換のときに底の部分を缶に入れないようにするだけでも、状態はかなり変わります。
Q. ラードを混ぜて揚げている精肉店ですが、回収を頼めますか?
A. まずはご相談ください。使っている油の種類と、混ぜている割合、出る量を伺ったうえで、回収の扱いと容器の選び方をお伝えします。植物油は買取の対象ですが、動物性の脂が多い油は扱いが変わることがあります。
Q. 揚げ物は夕方の数時間だけで、量はあまり多くありません。それでも頼めますか?
A. 最小2缶から回収していますので、缶がそろったところで伺う形で回収できます。たまるまでの間は、ふたを閉めて置き場にまとめておいてください。
Q. 店舗と仕込み場が離れています。どちらからも回収してもらえますか?
A. それぞれの所在地を教えていただければ、回収できるかどうかを正直にお伝えします。どちらで廃油が出ているのかもあわせて伺います。
まとめ
- 豆腐店や精肉店は、揚げ物が看板商品であるぶん、油の交換が多く廃油も増えやすい
- 豆腐生地を揚げる油は水分で傷みやすく、底にたまるかすと水を缶に入れない工夫が要る
- 精肉店はパン粉のかすと肉の脂で油が汚れやすく、ラードや牛脂を使う場合は種類を伝えておく
- 狭い作業場では、売り場から離れた置き場と、置ける缶の数を先に決める
- 回収を頼むときは、所在地、揚げている品目、油の種類、量、置き場を伝える
OIL BEESでは、豆腐店や精肉店をはじめ、揚げ物をする食品小売店や飲食店の廃食用油を無料で回収・買取しています(植物油が買取の対象です)。容器は無料で設置し、回収の時間に作業場を離れられない日でも立ち会いは要りません。店の作業場が狭い、量が多くないといった事情があっても、気軽にお問い合わせください。


