「廃油の缶を開けたら、底に水がたまっていた」「水と油を使うフライヤーの油を抜いたら、缶の半分近くが水だった」。廃油の回収について伺うご相談のなかで、意外と多いのが水にまつわる話です。水が混ざった油でも回収してもらえるのか、買取の対象になるのか、気になっている方も多いと思います。
先に結論をお伝えすると、水が混ざった油は、その量や状態によって扱いが変わります。少し水が入った程度なら問題にならないこともありますが、水や異物が多く混ざっていると、買取の対象にならないことがあります。どちらになるかは油の状態を見ないと判断できないので、気になる缶があれば、出す前にご相談いただくのがいちばん確かです。
この記事では、水や異物が混ざると何が困るのか、水がどこから入るのか、混ざっているかをどう見分けるのか、そして油を乾いたまま保つにはどうすればよいのかを、厨房の実際に沿って説明します。
水や異物が混ざった油は、なぜ扱いが変わるのか
再資源化の手間が増え、使える油が減る
OIL BEESが回収した廃食用油は、SAF(航空燃料)やバイオ燃料の原料として再資源化されます。原料として使うには、まず水や揚げかす、そのほかのごみを取り除く必要があります。混ざっているものが少なければ手間は小さく済みますが、多ければ多いほど取り除く手間が増え、同じ一缶から使える油の量は減っていきます。
たとえば一缶の半分近くが水だとしたら、原料として使える油は半分ほどしかありません。そのうえ、水と油を分ける手間もかかります。水が多い油の扱いが変わるのは、このためです。
水は油そのものを傷める
水は、混ざっているだけで油を傷めます。缶の中で水と油が長く触れ合っていると、油の分解が進み、酸っぱいようなにおいが出てきます。水がたまった缶の底ではカビや雑菌も増えやすく、においはさらに強くなります。置き場の臭いがきつくなり、虫が寄ってくる原因にもなります。
つまり、水が混ざった油は、量が減るだけでなく質も落ちていくということです。早く気づいて手を打つほど、油の状態を保てます。
廃油に水が入る主な経路
水は、思わぬところから廃油に入ります。厨房でよくある経路を順に見ていきます。
揚げる食材から出る水分
食材の水分の多くは、揚げている間に蒸気になって出ていきます。ただ、冷凍食品についた霜や氷、水気を切らずに入れた野菜や魚介、水分の多い豆腐などを毎日たくさん揚げていると、一部の水分がかすと一緒に油の底に沈むことがあります。冷凍食品は表面の霜を落としてから揚げる、下ごしらえの食材は水気をよく拭く、という基本の作業が、廃油の状態を保つことにもつながります。
水と油を使うタイプのフライヤー
フライヤーには、油の下に水の層をつくり、揚げかすを水の層に沈める仕組みのものがあります。かすが焦げにくく、油が長持ちしやすいという利点がある一方で、油を交換するときに抜いた油に水が多く混ざりやすいという面があります。抜き方によっては、水と油が半々に近い状態で缶に入ることもあり、そうなると買取の対象にならないことがあります。
このタイプのフライヤーを使っている店では、取扱説明書に沿って、水の層と油の層をできるだけ分けて抜くことが大切です。抜き方がよく分からない場合は、メーカーや販売店に確認しておくと安心です。水の層を入れ替えるときに抜いた、かすまじりの水も、廃油の缶には入れないでください。回収を頼むときにも、このタイプのフライヤーを使っていることを伝えておいてください。
フライヤーの清掃や洗い物の水
フライヤーを水と洗剤で洗ったあと、内側に水気が残ったまま新しい油を入れると、その水は油の中に残ります。揚げ始めに油がはねるのはそのためで、やけどの危険もあります。洗った缶や容器を乾く前に廃油入れに使うのも、水が入る原因です。洗ったものは、内側まで完全に乾かしてから使います。
床を水で流して掃除する厨房では、廃油の缶に水がはねたり、ふたのまわりにかかった水がふたを開けたときに流れ込んだりすることもあります。
雨と結露
屋外に置いた缶は、ふたのすき間や、ふたの上にたまった雨水から水が入ります。屋内でも、温度差の大きい場所では缶の内側に結露が生じることがあります。屋外に置く場合は屋根のある場所を選び、ふたの上に水がたまらないようにしておきます。
水以外に混ざりやすいもの
水と同じように、廃油の状態を落とすものがほかにもあります。厨房で混ざりやすいのは次のようなものです。
- 底に沈んだ揚げかすや、焦げたパン粉
- たれ、煮汁、スープなど、油以外の調味液
- キッチンペーパー、ラップ、つまようじなどの小さなごみ
- 器具を洗ったあとの洗剤まじりの水
- 機械の潤滑油など、食用ではない油
揚げかすは、交換のときにこし網で分けておけば、缶に入る量を大きく減らせます。炒め物の鍋に残った油を廃油の缶に足す店もありますが、食べかすやたれが一緒に入りやすいので、入れるなら上澄みだけにします。食用ではない油は、量が少なくても絶対に混ぜないでください。
水が混ざっているかを見分ける
水が混ざっているかどうかは、いくつかのサインで見当がつきます。
- 缶をしばらく動かさずに置くと、底のほうに白っぽい層や水の層ができる
- 透明な容器に少し取ると、油と水が二層に分かれる、または全体が白く濁る
- においが酸っぱい、または腐ったようなにおいがする
- 揚げている最中に、いつもより油が激しくはねる
水は油より重いので、時間がたつと缶の底にたまります。缶を傾けたときに底のほうから濁ったものが出てくるようなら、水が混ざっている可能性が高いと考えてください。
確認は、缶がいっぱいになってからではなく、油を足すたびに軽く見ておくのが理想です。いっぱいになってから水に気づいても、もう分けようがありません。ふたを開けたついでに、においと表面の様子を見る習慣をつけておくと、異変に早く気づけます。
ここで気をつけたいのは、水を飛ばそうとして油を温めないことです。水が混ざった油を加熱すると、底の水が急に沸いて油が激しく飛び散り、大きなやけどや火災につながるおそれがあります。水が混ざってしまった油は、温めずにそのまま置き、回収の際に相談してください。
油を乾いたまま保つための置き方と手順
水が入る経路が分かれば、防ぎ方も見えてきます。厨房で取り入れやすいものをまとめました。
- 廃油の缶や容器のふたは、油を入れたらすぐに閉める
- 缶は屋根のある場所に置き、床からすのこや台で少し上げる
- 床を水で掃除する店は、缶を掃除の範囲から外しておく
- 洗ったフライヤーや容器は、内側まで完全に乾かしてから油を入れる
- 油を交換するときは、底に沈んだ水やかすを最後まで缶に入れない
- 冷凍食品は霜を落とし、下ごしらえの食材は水気を拭いてから揚げる
このなかで特に効くのが、5の「底の部分を入れない」です。フライヤーや鍋の底には、かすと一緒に水分が沈んでいることがあります。抜くときに最後の少しを残し、かすと一緒に別に処分するだけで、缶の中身の状態はかなり変わります。
床から缶を上げるのも、手軽で効果のある方法です。床に直接置いた缶は、掃除の水や雨水が缶の底のまわりにたまり、さびの原因にもなります。OIL BEESでは回収用の容器の設置も無料なので、置き場の条件に合った容器を相談できます。
グリストラップの汚泥とは、必ず分けて出す
水まじりの油の話でもう一つ大事なのが、グリストラップにたまるものとの区別です。グリストラップは、厨房の排水から油脂やごみを分けるための設備です。ここにたまる油まじりの汚泥や浮いた油のかたまりは、揚げ油の廃油とはまったくの別物です。
グリストラップの汚泥には、水、食べ残しのくず、洗剤などが多く含まれています。これを廃食用油の缶に入れてしまうと、缶の中身全体の状態が大きく落ちてしまいます。見た目が油っぽくても、廃食用油の缶には入れないでください。
グリストラップの汚泥の処理の仕方は、廃食用油とは別のルールになります。どう処理すればよいかは、自治体の窓口や、グリストラップの清掃を頼んでいる業者に確認してください。反対に、使い終わった揚げ油を流しやグリストラップに流すのも、配管の詰まりや臭いの原因になるので避けます。
状態が気になる油は、出す前に相談する
水が入ってしまった缶や、状態に自信のない油があるときは、次の三つを心がけてください。
きれいな缶と混ぜない
水が入った缶が一つあったときに、量をまとめようとしてほかの缶と混ぜてしまうと、きれいだった油まで状態が落ちてしまいます。状態の気になる缶は分けて置き、印をつけておきます。
隠さずに伝える
回収のときに、水が入ってしまった缶があること、水と油を使うフライヤーを使っていることなどを伝えてください。状態を見たうえで、回収や買取の扱いをお伝えします。最初に分かっていれば、次から水が入らないようにするための置き方や抜き方も一緒に考えられます。
原因を一つずつ確かめる
水が入った缶が出たときは、どこから入ったのかを一度振り返ってみてください。屋外に置いていて雨の翌日に気づいたのなら置き場、フライヤーを洗った週に限って水が多いなら清掃後の乾かし方、毎回少しずつ底にたまるなら交換のときの抜き方に原因があることが多いものです。原因が分かれば、手順を一つ変えるだけで済む場合がほとんどです。
よくある質問
Q. 缶の底に少し水がたまっていました。回収してもらえますか?
A. 水の量や油の状態によって扱いが変わります。少量であれば問題にならないこともありますが、多く混ざっていると買取の対象にならないことがあります。状態を見てご相談ください。
Q. 水と油を使うフライヤーの廃油は、買取の対象になりますか?
A. 水が多く混ざっていると、買取の対象にならないことがあります。状態を見てご相談ください。水の層と油の層を分けて抜くことで、缶に入る水を減らせる場合もあります。
Q. 雨水が入ってしまった缶は、ほかの缶とまとめて出してよいですか?
A. ほかの缶とは混ぜずに分けておき、回収の際にお知らせください。混ぜてしまうと、きれいな油まで状態が落ちてしまいます。
Q. 水を飛ばすために、油を温め直してもよいですか?
A. 危険なのでやめてください。水が混ざった油を加熱すると、底の水が急に沸いて油が飛び散るおそれがあります。温めずにそのまま置き、ご相談ください。
まとめ
- 水や異物が多く混ざった油は再資源化しにくく、買取の対象にならないことがある
- 水は食材、水と油を使うフライヤー、清掃の水、雨や結露など、いくつもの経路から入る
- 缶の底の白っぽい層や濁り、酸っぱいにおいは水が混ざったサイン。水を飛ばそうと加熱しない
- ふたを閉め、床から上げ、底の水とかすを缶に入れないことで、油を乾いたまま保てる
- グリストラップの汚泥は廃食用油とは別物。缶に入れず、処理の仕方は自治体や清掃業者に確認する
OIL BEESでは、廃食用油を無料で引き取り、植物油は買取もしています。缶などの容器の設置も無料です。水が入ってしまった缶がある、水と油を使うフライヤーを使っているなど、油の状態が気になる場合も、状態を見てご相談いただけますので、気軽にお問い合わせください。


