廃食用油の扱いの変遷と課題
排水・不法投棄が当たり前だった時代

廃食用油が大量に発生するようになった初期の時代、多くの飲食店では油を排水に流すか、一般ごみとして廃棄するという対応が当たり前でした。
特に高度経済成長期には、飲食店の数も消費量も急増し、処理が追いつかないケースが多発。その結果、下水の詰まりや悪臭、川や海の汚染など、深刻な公害問題へと発展していきます。
一部では、山林などへの不法投棄も横行しました。環境への意識がまだ低かった時代、廃油は「ただの邪魔な廃棄物」として扱われていたのです。
廃油再利用の始まり(石鹸・飼料など)
1970年代頃から、「この油、再利用できるのでは?」という発想が少しずつ広がっていきます。特に活用されたのが、以下のような分野です。
- 石鹸の原料(油脂をアルカリで加工する)
- 家畜飼料の添加物
- 工場機械の潤滑油
これにより、廃油が「ただのゴミ」から「再利用可能な資源」として見直され始めます。ただし、衛生面や品質にばらつきがあったため、利用は限定的で、廃油の大半は依然として焼却か廃棄されていました。
法規制・安全基準の整備(日本と海外の動き)
1990年代以降、環境問題への関心が高まると同時に、廃食用油に関する法規制やガイドラインが整備されていきます。
日本では、以下のような動きがありました:
- 廃棄物処理法による不法投棄の厳罰化
- 自治体による回収制度の導入
- 食品リサイクル法により、廃棄物を可能な限り再資源化する流れの強化
また、ヨーロッパではバイオディーゼル燃料(BDF)の原料として、廃食用油の収集が国家プロジェクトとして推進されるなど、国際的にも再利用への関心が急速に高まりました。
現代の廃食用油リサイクルとその意義
バイオ燃料、飼料、工業原料など多様な再利用

現代では、廃食用油は「再利用されるべき貴重な資源」として、その活用の幅が大きく広がっています。特に注目されているのが以下の用途です:
- バイオディーゼル燃料(BDF)
自動車やバス、さらには航空機燃料としても実用化が進んでいます。 - 動物飼料やペットフードの原料
安全性が確認された油は、加工して利用されます。 - 工業原料(潤滑油・塗料・洗剤など)
石油由来の代替として、環境負荷を抑える目的で活用。
これらの再利用により、廃油の排出量が抑えられ、CO2削減や資源循環の促進につながっています。
SDGsとのつながり
廃食用油のリサイクルは、SDGs(持続可能な開発目標)とも深く関係しています。具体的には以下の目標に貢献しています
- 目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」
再生可能エネルギーの一つとして注目されています。 - 目標12「つくる責任 つかう責任」
廃棄物の削減と循環型社会への貢献。 - 目標13「気候変動に具体的な対策を」
化石燃料の使用量削減による地球温暖化対策。
つまり、廃食用油を正しく扱い、リサイクルにつなげることは、単なるゴミ処理ではなく、社会全体の持続可能性への貢献でもあるのです。
飲食店に求められる責任と役割
このような背景から、飲食店には以下のような責任が求められています:
- 適切に廃油を保管・管理すること
(密閉容器に保管し、不法投棄や混入を防ぐ) - 信頼できる回収業者に委託すること
(リサイクルルートが明確な業者かを確認) - 廃油量や回収履歴を把握すること
(報告義務や内部管理のため)
こうした基本的な対応を行うことで、飲食店も環境貢献の一翼を担うことができます。
OIL BEESが取り組む廃食用油の未来
私たち OIL BEES株式会社 は、廃食用油を「価値ある資源」として捉え、飲食店の皆さまとともに持続可能な社会づくりに取り組んでいます。
- 廃食用油の無料回収サービス
- 油の酸化度を測定する「おいしい油」認定制度
- 回収量・買取額を確認できるポータルサイトの提供
これらのサービスにより、飲食店にとって手間がかからず、メリットのあるリサイクルを実現しています。廃油は「捨てるもの」から「活かすもの」へ。これからの飲食店経営にとって、廃食用油の扱い方が価値を生む時代です。
廃食用油の歴史から学ぶ、これからの油との付き合い方
油は、古代の人類が火や食と出会ったその時から、私たちの生活と深く関わってきました。貴重な資源として大切に扱われた時代から、大量消費・大量廃棄の時代を経て、いま再び「循環」と「価値」の視点で見直されようとしています。
特に飲食店にとって、廃食用油は単なるゴミではなく、社会に貢献できるリソースです。
適切に管理・回収し、再利用ルートに乗せることで、環境保護・コスト削減・企業イメージ向上といったさまざまなメリットを生み出すことができます。
OIL BEES株式会社は、廃油回収のプロフェッショナルとして、こうした時代の流れに寄り添いながら、皆さまの店舗経営を支えるパートナーであり続けます。
歴史を知れば、油は「使ったら終わり」ではなく、「未来につなぐ循環資源」だと気づくはずです。
今後も油と賢く付き合いながら、持続可能な社会に向けて、私たちと一緒に一歩を踏み出しましょう。