🌍 国際レベルの展開
- 2025年、SAF生産量が2 百万トン(約25億ℓ)へと倍増予測。ただしこれは航空業界の燃料需要のわずか0.7%に過ぎず、供給規模とコスト削減の両立が急務となっています。
- EUと英国では2025年1月からSAF義務化がスタート。燃料供給者は少なくとも2 %をSAFで混合する必要があります。この比率は2030年までに6~10 %へ引き上げ予定です。
🇯🇵 日本のSAF最新プロジェクト
■ Saffaire Sky Energy(Cosmoグループほか)
- 大阪・堺製油所を拠点に、年間30,000 kl(≒517バレル/日)規模で試験生産を開始。2025年4月から国内初のSAF供給をスタート予定です。原料は主に使用済み食用油(廃食油)。2030年には 300,000 klの供給体制構築を目指しています。
- DHL Express Japanが年間7.2百万ℓのSAF供給契約を締結。これにより、2025年4月からアジア初の定期貨物便へのSAF利用が始まります。
■ Taiyo Oil(沖縄)
- 経済産業省の支援事業に選ばれたプロジェクトで、沖縄を拠点にSAF製造の事業化に挑戦。地域資源を活かした供給体制が注目されています。
■ 丸紅・JAL・三菱ケミカルらによる新規連携
- 国内の森林残材を原料とするSAF・バイオナフサ・再生ディーゼルの事業性検証を開始。JALやBoeingも参画し、2030年以降を見据えた国内サプライチェーン構築が進行中です。
🌱 世界規模での投資と未来見通し
- Rystadによれば、主要石油会社は2030年までに40以上のバイオ燃料プロジェクトを計画中。BPやShell、TotalEnergiesらが生産能力を拡大中です。
- SkyNRGの「Market Outlook 2025」によると、SAF市場は成長過程にあり、市場の強固な拡張が見込まれています。
🚩 課題と展望
項目 | 内容 |
---|---|
コスト | SAFは通常のジェット燃料より高価で、義務化に伴うプレミアムが課題。欧州では費用が倍増した例もあります。 |
供給量の拡大 | 供給は拡大中なものの、2025年時点でも航空業界の需要を満たすには程遠く、拡大ペースの加速が欠かせません。 |
原料調達 | 廃食油や木質残材など原料需給が限られており、新たな feedstock の確保が喫緊の課題です。 |
政策支援 | 奨励金・補助金、税制インセンティブなど、政策が供給拡大を左右する重要な要素。 |
✅ まとめ:SAFが変える航空業界の“油”
- 2025年はSAF転換元年。生産量は倍増する見込みですが、依然として供給量は業界ニーズのわずか数%にとどまっています。
- 日本国内ではCosmo系の堺プロジェクトやTaiyo Oilの取り組み、丸紅らの連携が先陣を切る。2030年までに10 %供給を目指す政府方針も明確です。
- 世界では欧米の大手企業がSAF製造能力を拡充中。政策義務化や民間投資により、2030年代に向けた確かな市場基盤が形成されつつあります。
SAFは石油由来のケロシンに代わる、温室効果ガス削減の有力な手段として注目を集めており、今後の供給拡充とコスト削減の鍵は、原料調達体制と政府・企業の政策連携にかかっています。