「夜はバーをやっているお店の厨房を、昼だけ借りてカレーを出しています。揚げ物に使った油、どうしたらいいですか?」——間借り営業をしている方から、こんな相談をいただくことがあります。
夜営業のお店の厨房を昼に借りる。定休日だけ別の店主が営業する。いわゆる「間借り営業」や「二毛作営業」は、開業資金を抑えて自分の店を試せる方法として、名古屋でも見かけることが増えました。貸す側にとっても、空いている時間が家賃収入に変わる、ありがたい仕組みです。
ただ、ひとつの厨房に2つのお店が同居すると、廃油まわりのルールが宙に浮きやすいのも事実です。「どっちの油か分からない」「缶が増えて置き場がない」「買取のお金はどちらのもの?」——始める前に話しておけば何でもないことが、後からだと言い出しにくくなります。
この記事では、間借りで厨房をシェアするときに決めておきたい廃油の取り決めと、回収をスムーズにするコツをまとめました。貸す側・借りる側、どちらの立場の方にも読んでいただける内容です。
間借り営業で廃油がややこしくなる理由
1店舗だけで営業していれば、油を買うのも、交換するのも、回収業者に渡すのも同じお店です。ところが間借りでは、「油を使う人」と「厨房や回収の契約を持っている人」が別になります。ここがややこしさの出発点です。
フライヤーを共用すると「誰の油か」が分からなくなる
一番多いのが、フライヤーを昼と夜で共用するケースです。昼の店が唐揚げを揚げ、夜の店がポテトを揚げる。同じ油を2つのお店が使えば、当然そのぶん劣化は早くなります。そして交換のタイミングで「今回の油代はどちらが持つ?」「昼に揚げすぎたから油が黒いんじゃない?」と、小さな不満が積み重なりがちです。
回収の契約は、たいてい貸す側の名義のまま
廃油回収の契約は、厨房を持っている貸す側の名義になっていることがほとんどです。借りる側の油もその缶に入れて、一緒に出している——という形がよくあります。量が少ないうちは問題になりませんが、借りる側の揚げ物メニューが増えると、缶が埋まるのが早くなります。買取の対象になる油なら、そのお金を誰が受け取るのか、という話も出てきます。
置き場も缶も、貸す側のスペース
廃油缶の置き場は、もともと1店舗分を想定して確保されていることが多いです。そこに2店舗分の廃油が入ってくると、缶が厨房の通路や裏口にはみ出します。貸す側からすると「自分のスペースに他のお店の油が増えていく」状態です。関係を気づかって言い出せないまま、もやもやしている——というお話も聞きます。
決めずに始めると起きやすいこと
脅かすつもりはありませんが、取り決めがないまま進んだときに起きやすいことを挙げておきます。どれも「最初に一言話しておけば防げた」ものばかりです。
- 🔹 油の品質で揉める:交換の判断があいまいなまま、どちらかが傷んだ油で揚げることになり、味にばらつきが出る
- 🔹 缶があふれる:回収の頻度が1店舗分のままで、満杯の缶が増えていく。暖かい時期は臭いや虫の原因にも
- 🔹 流しに捨ててしまう:缶がいっぱいで、つい油を排水に流す。配管の詰まりは厨房全体の問題になる
- 🔹 間借りを終えた後に油が残る:退去した側の新油や廃油が置き去りになり、貸す側が処分に困る
- 🔹 お金の不満がたまる:油代の負担や買取金の受け取りが片寄り、関係そのものがぎくしゃくする
間借りは、貸す側と借りる側の信頼関係で成り立っています。廃油はお金も場所も絡むぶん、関係にひびが入るきっかけになりやすいテーマです。だからこそ、最初に決めておく価値があります。
間借りで決めておきたい廃油の取り決め5つ
難しい契約書を作る必要はありません。間借りの条件を話すときに、廃油について次の5つを一緒に決めておけば十分です。決めた内容は、紙1枚かメッセージで残しておきましょう。
1. フライヤーと油は共用か、別々か
まず、揚げ油を共用するのか、それぞれが自分の油を使うのかを決めます。共用するなら、新しい油の購入費をどう分けるか(営業日数や揚げる量で按分する、交互に買うなど)まで話しておきましょう。借りる側の揚げ物が多いなら、昼の営業後に油を入れ替える、小さめのフライヤーを持ち込む、という選択肢もあります。
2. 油の交換を誰が判断するか
共用の場合、「誰が交換を決めるか」が一番揉めやすいところです。おすすめは、交換した日と揚げたメニューを簡単なノートに書いて引き継ぐやり方です。油の色や泡立ち、においの変化を、両方のお店が同じ目線で確認できるようになります。判断に迷うときは、油の傷み具合を測る試験紙などで、状態を数字で見えるようにするのも一つの方法です。
3. 廃油缶を分けるか、まとめるか
廃油缶は、お店ごとに分けるか、1つにまとめるかのどちらかです。量をはっきりさせたいなら、缶を分けて「昼」「夜」とラベルを貼っておくのが確実です。まとめる場合も、「缶がいっぱいになったら、どちらが回収業者に連絡するか」まで決めておくと、出し忘れがなくなります。
4. 回収契約の名義と、買取金の扱い
回収の契約は、貸す側の名義のままにして間借り料の中で調整する形もあれば、借りる側が別に契約する形もあります。どちらが正解というものではありません。大事なのは、買取の対象になったときのお金をどう扱うかを先に決めておくことです。金額が小さくても、ルールがあるだけで気持ちよく続けられます。
なお、事業で出たごみや廃油の出し方の決まりは、自治体によって考え方が異なることがあります。どちらのお店の名前で出すべきかなど気になる点があれば、お店のある市町村の窓口に確認しておくと安心です。
5. 置き場と、間借りを終えるときの片付け
置き場は「何缶まで」「どこに」を決めておきます。そして意外と忘れがちなのが、間借りを終えるときのことです。借りる側が退去するときは、残った廃油を最後の回収に出し、使いかけの新油は持ち帰るか引き渡すかを決めておく。これだけで、置き去りの油に貸す側が困ることがなくなります。
OIL BEESなら、2つのお店が同居する厨房にもこう対応します
ここまで読んで「決めることが多いな」と感じた方もいるかもしれません。大丈夫ですよ。廃油の部分は、回収業者に相談しながら決めていただければ十分です。
缶の置き方・分け方から一緒に考えます
OIL BEESでは、一度お店を見させてもらい、厨房の広さ、昼と夜それぞれの揚げ物の量、置き場の場所を確認したうえで、缶の数や置き方をご提案します。缶を分けるか、まとめるか。名義をどちらにするか。何通りかの案をお出しして、お店同士で選んでいただく形です。容器の設置に費用はかかりません。
少量でも、回収のタイミングは柔軟に
間借りの揚げ物は、始めたばかりの頃は量が少ないことも多いです。OIL BEESは最小2缶から回収に伺います。昼の店と夜の店で営業時間が違っても、受け渡しの方法やタイミングはお店の事情に合わせて柔軟に対応します。回収の記録はアプリで確認できるので、その数字をもとに、お店同士で量を確かめ合うこともできます。
間借りの始まりと終わりにも合わせます
間借りを始めるときは缶の追加、終えるときは最後の回収と缶の引き上げ。どちらもご連絡いただければ調整します。間借りの条件が変わるタイミングは、廃油の段取りを見直す良い機会です。
2つのお店の油が、まとめて資源に
回収した油は、SAF(持続可能な航空燃料)やバイオ燃料の原料として再資源化されます。昼の店の唐揚げの油も、夜の店のポテトの油も、捨てられずに次の資源になる。ひとつの厨房を2つのお店で活かす間借り営業と、捨てられている油を資源に変える廃油リサイクルは、考え方がよく似ていると思っています。
よくある質問
Q. 借りている側からでも相談できますか?
A. もちろんです。ただ、置き場や契約の名義は貸す側のお店との話にもなるので、できれば両方のお店がそろうタイミングでお話しできるとスムーズです。
Q. 昼と夜の油を同じ缶に入れてしまっています。回収してもらえますか?
A. 植物性の揚げ油同士であれば、問題ありません。ただ、ラードや牛脂などの動物性の脂や、水分が多く混ざった油は、回収の条件が変わることがあります。分けられるようなら、今後は分けておくと安心です。
Q. 間借りは数か月だけの予定です。短い期間でも頼めますか?
A. 大丈夫ですよ。期間が決まっている場合も、始まりと終わりに合わせて段取りします。まずは気軽にお問い合わせください。
Q. 今の回収業者とは貸す側が契約しています。借りる側の分だけ別に頼めますか?
A. お店の状況によって、いろいろな形が考えられます。今の契約を活かしたままのほうがよい場合もありますので、一度状況をうかがったうえで、無理のない形をご提案します。
まとめ
間借り営業は、貸す側にも借りる側にもメリットのある仕組みです。そのぶん、廃油のように「どっちのもの?」があいまいになりやすいテーマは、最初に決めておくことが長続きのコツです。
- ✅ フライヤーと油を共用するか、別々にするかを決める
- ✅ 廃油缶を分けるかまとめるか、回収の連絡を誰がするかを決める
- ✅ 回収契約の名義と、買取になったときのお金の扱いを決める
- ✅ 置き場の上限と、間借りを終えるときの片付けを決める
決めた内容を紙1枚に残しておくだけで、後から揉めることがぐっと減ります。
OIL BEESでは、廃食用油の無料回収・買取に加えて、間借りやシェアキッチンのように複数のお店が同居する厨房の、缶の置き方や回収の段取りのご相談にも対応しています。「うちの場合はどうしたらいい?」という段階でも大丈夫です。一度お店を見させてもらい、ベストな形を一緒に考えます。気軽にお問い合わせください。


